法医学☆国試問題解説

国試の
要 点
医師法
関 係
死 亡
診断書
死産証書
児童虐待
死体検案
死体現象
脳 死
臓器移植
外 傷
急 死
中 毒
薬物依存
医の倫理
血液型

<中毒・薬物依存>

H30(112)-A-55 35歳の男性。アジ、イカなどの刺身を食べた後に出現した上腹部痛を主訴に来院した。生来健康である。意識は清明。身長 170 cm、体重 66 kg。体温 36.1 ℃。脈拍 64/分、整。血圧 118/78 mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、心窩部に圧痛を認めるが、反跳痛と筋性防御とを認めない。便通に異常はない。緊急上部消化管内視鏡像 (白く細い帯状のものが映っている) を別に示す。
 この疾患について正しいのはどれか。
a 夏季に多い。 
b 腸での発症が多い。 
c 魚類摂取後24 時間以降に発症する。 
d プロトンポンプ阻害薬が有効である。 
e 病態には即時型アレルギー反応が関与する。 
H30(112)-A-57 48歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。同行した家人によると、3年前からかかりつけ医で2型糖尿病の内服治療を受けている。喫煙歴はないが、毎日缶ビール500 mLを1、2本程度飲むという。昨日は糖尿病の薬を普段通りに内服し、夕食時に缶ビール3本に加えて日本酒2合を飲んで就寝した。朝になっても起きてこないので家人が様子を見に行ったところ反応がおかしかったので救急車を要請した。意識レベルはJCSⅡ-20。身長 170 cm、体重 81 kg。体温 35.7℃。心拍数 92/分、整。血圧 156/98 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 99 % (room air)。家人が持参してきていたお薬手帳 (グリメピリドとメトホルミンを処方。1月からメトホルミンが2倍量になった) を別に示す。
 血糖に加えて、まず確認すべき血液検査項目はどれか。
a 乳酸 
b ケトン体 
c インスリン 
d アルコール 
e 血清浸透圧 
H30(112)-A-63 57歳の男性。食欲不振と肝機能障害のために入院中である。20歳台から連日日本酒3合を飲んでいたが、仕事に支障をきたすことはなかった。3年前から飲酒量がさらに増加し、毎日5合以上飲むようになった。1週間前から全身倦怠感を自覚し、仕事を休み始めた。それでも飲酒を続けていたが、3日前に著しい食欲不振で食事を摂れなくなったため外来受診し、血液検査で肝機能障害が認められて入院することになった。入院時から夜間不眠があり、入院2日目から落ち着きなく歩き回り、夜間には「動物が壁を這っている」と訴えて不穏になった。このとき手指の粗大な振戦および著明な発汗がみられ、自分が入院していることが分からない様子であった。入院時の頭部CTで異常を認めなかった。
 まず投与すべき薬剤として適切なのはどれか。2つ選べ。
a 抗酒薬 
b ジアゼパム 
c ビタミンB群 
d イミプラミン 
e レボドパ〈L-dopa〉 
H30(112)-C-22 我が国において主要な曝露源が魚介類摂取であるのはどれか。2つ選べ。
a 鉛 
b メチル水銀 
c カドミウム 
d ダイオキシン類 
e ビスフェノールA 
H30(112)-C-43 27歳の男性。1か月前に乾性咳嗽と呼吸困難が出現し、軽快しないため受診した。4年前から液晶パネル製造工場に勤務している。胸部エックス線写真で両肺野にすりガラス陰影を認める。胸腔鏡下肺生検で直径 1μm前後の微細粒子を認める。
 この患者が曝露した物質として考えられるのはどれか。
a 鉛 
b ヒ素 
c 水銀 
d クロム 
e インジウム 
H30(112)-C-47 31歳の男性。頭重感、倦怠感および悪心を主訴に来院した。大企業の事務職をしている。半年前の職場の改修工事の際に刺激臭を感じ、その後、頭重感、倦怠感および悪心が出現するようになった。職場を離れると症状は消失し、休日は症状が出現しない。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長 165 cm、体重 61 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 112/78 mmHg。身体所見に異常を認めない。1か月前に行われた職場の健康診断とストレスチェックとで問題を指摘されていない。
 まず行うべきなのはどれか。
a 頭部CTを行う。 
b 甲状腺機能検査を行う。 
c 精神科受診を指示する。 
d 産業医との面談を勧める。 
e 市町村保健センターを紹介する。 
H30(112)-E-12 アルコール依存症でみられる神経学的所見のうち、小脳失調の所見はどれか。
a 外眼筋麻痺 
b 記銘力障害 
c つぎ足歩行不能 
d Romberg徴候陽性 
e 手袋靴下型感覚障害 
次の文を読み、69〜71 の問いに答えよ。
中年の女性。意識障害のため救急車で搬入された。
現病歴: ホテルの部屋で倒れているのを従業員が発見し、呼びかけに反応が乏しいため救急車を要請した。救急隊到着時にはけいれんしていたが、搬送開始直後に治まった。
既往歴: 不明
生活歴: 不明
家族歴: 不明
現症: 意識レベルはJCSⅡ-20。身長 160 cm、体重 50 kg。体温 38.6 ℃。心拍数 106/分、整。血圧 94/50 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 100 % (マスク 5L/分酸素投与下)。皮膚はやや乾燥。瞳孔径は両側 6.5 mm で、対光反射は両側やや緩慢。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥している。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音は減弱している。四肢に麻痺はなく、腱反射は正常。
検査所見: 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球450 万、Hb 13.9 g/dL、Ht 42 %、白血球 11,200、血小板 16 万、PT-INR 1.2 (基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 7.0 g/dL、アルブミン 3.9 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、直接ビリルビン 0.2 mg/dL、AST 46 U/L、ALT 32 U/L、CK 1,500 U/L (基準30〜140)、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、血糖 98 mg/dL、Na 141 mEq/L、K 4.5 mEq/L、Cl 102 mEq/L。動脈血ガス分析 (マスク 5L/分酸素投与下):pH 7.35、PaCO2 28 Torr、PaO2 100 Torr、HCO3- 15 mEq/L。心電図は洞調律で不整はないが、QRS幅が広がりQT間隔の延長を認める。ST-T変化を認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比と肺野とに異常を認めない。頭部CT に異常を認めない。

H30(112)-F-69 ホテルの部屋のごみ箱に錠剤の空包が多数捨ててあったとの情報が得られた。 最も可能性が高い薬物はどれか。
a 麻薬 
b コリン作動薬 
c 三環系抗うつ薬 
d 交感神経作動薬 
e ベンゾジアゼピン系睡眠薬 
H30(112)-F-70 中毒物質の迅速簡易定性に用いられる検体はどれか。
a 尿 
b 便 
c 胃液 
d 血液 
e 脳脊髄液 
H30(112)-F-71 今後起こりうる合併症に対し最も重要なモニタリングはどれか。
a 心電図 
b 持続脳波 
c 中心静脈圧 
d 観血的動脈圧 
e SpO2 
H29(111)-D-3 身体依存が最も形成されやすいのはどれか。
a 覚醒剤 
b ニコチン 
c 有機溶剤 
d オピオイド 
e カフェイン 
H28(110)-B-59〜61 46歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。
 現病歴:部屋で倒れているのを母親が発見し、救急車を要請した。
 既往歴:20歳ころ、うつ病の治療歴あり。
 生活歴:無職。喫煙歴および飲酒歴は長いようだが詳細は不明。
 家族歴:独身。母親は健康で農業を営んでいる。父親は高校生の時に死亡したが詳細は不明。
 現 症:体温 36.8 ℃。脈拍 108/分、整。血圧 140/90 mmHg。呼吸数 8/分。SpO2 88 %(リザーバー付マスク 10L/分 酸素投与下)。閉眼しており痛み刺激で開眼しない。発語はない。痛み刺激を何回か繰り返すとわずかに四肢を動かす。瞳孔は両側とも径1mmに縮瞳し、対光反射は確認できない。呼気に有機溶媒臭があり、鼻汁、流涎および発汗がみられる。両側の胸部全体にwheezesを聴取する。心雑音を聴取しない。筋線維束攣縮を認める。腱反射の異常を認めない。

H28(110)-B-59 この患者において除染後直ちに行うべき処置はどれか。
a 催 吐 
b 胃洗浄 
c 気管挿管 
d 強制利尿 
e 活性炭投与 
H28(110)-B-60 この患者の鑑別診断において有用な血液生化学検査の項目はどれか。
a カリウム 
b アミラーゼ 
c マグネシウム 
d ヘモグロビン 
e コリンエステラーゼ 
H28(110)-E-46 この患者に投与すべき薬剤はどれか。
a ナロキソン 
b アトロピン 
c フルマゼニル 
d 亜硝酸ナトリウム 
e チオ硫酸ナトリウム 
H28(110)-E-46 46歳の男性。全身のしびれと悪心とを主訴に来院した。初夏のある朝、朝食にアサリの味噌汁、焼魚および山菜を食べた。アサリと魚は汽水域で採ったもの、山菜は近くの山野で採取したものである。食べて10分後に口唇がしびれるのを感じ、20分後にはしびれが全身に広がり悪心も生じたため朝食後40分して受診した。一緒に食事をした妻も口唇のしびれを訴えている。来院時、意識は清明。体温 36.0 ℃。脈拍 84/分、不整。血圧 116/70 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98 %(room air)。顔面と四肢とに知覚異常がある。瞳孔径は両側6mmで、対光反射は正常。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音はやや亢進している。胸部エックス線写真で異常を認めない。心電図モニターで心室性期外収縮が観察されている。
 優先すべき処置はどれか。
a 胃洗浄 
b 酸素吸入 
c 抗菌薬投与 
d 全身の除染 
e アドレナリン投与 
H28(110)-I-45 58歳の男性と55歳の女性の夫婦。本日午後11時に、下痢、嘔吐および腹痛を主訴に夫婦とも救急車で搬入された。夫は長期出張から午後8時に帰ったばかりであり、午後9時に夫婦揃って夕食をとった。妻によると献立は鍋物で、具材は冷凍にしておいた牡蠣、スーパーで本日午後に買った豆腐と野菜 (春菊、ねぎ、もやし) であった。その他に米飯と市販の漬物と昨日妻が採った山菜の天ぷらで夫婦で同じ物を食べたという。午後10時ころより夫婦とも腹痛が出現し、症状が増悪したため救急車を要請した。
 原因と考えられるのはどれか。
a アニサキス 
b 植物性自然毒 
c ノロウイルス 
d カンピロバクター 
e 腸管出血性大腸菌 
H27(109)-A-55 48歳の男性。工場で吹きつけ作業を担当している。特殊健康診断で尿中馬尿酸が2.8 g/L (分布1は1 g/L以下、分布2は1 g/L超 2.5 g/L以下、分布3は2.5 g/L超) であった。自覚症状は特にない。喫煙は10本/日を25年間。飲酒はビール1,000 mL/日を25年間。
 産業医がまずとるべき措置はどれか。
a 作業状況の確認 
b 自宅療養の指示 
c 職場内禁煙の確認 
d 貧血の有無の確認 
e ストレスの有無の確認 
H27(109)-D-53 当直中に病院職員から電話があった。「帰宅したら、自宅の浴室に目張りがされており、浴室から卵が腐ったような臭いが漏れ出している。浴室では弟が倒れているようである。119番には通報している」という。
 適切な指示はどれか。
a すぐ現場を離れる。 
b 浴室の換気扇を回す。 
c 弟の心肺蘇生を始める。 
d 弟を浴室から連れ出す。 
e 臭いの発生源を確認する。 
H27(109)-H-12 中毒性表皮壊死症〈toxic epidermal necrolysis〉において重症薬疹を示唆する所見はどれか。
a 白 斑 
b 膨 疹 
c 発 赤 
d 苔癬化 
e 粘膜びらん 
H27(109)-I-2  アルコール依存症の離脱症状でないのはどれか。
a 幻 視 
b 興 奮 
c 作 話 
d 振 戦 
e 発 汗 
H27(109)-I-18 粘膜刺激症状を呈する有毒ガスはどれか。
a サリン 
b ブタン 
c 亜硫酸ガス 
d 一酸化炭素 
e シアン化水素 
H27(109)-I-31 食中毒の原因となるのはどれか。
a たらの芽 
b 青いトマト 
c 芽キャベツ 
d 発芽した大豆 
e ジャガイモの新芽 
H27(109)-I-32 飲酒について正しいのはどれか。
a 我が国のアルコール消費量は近年、増加傾向を示している。 
b 適度な飲酒の量は純アルコールで1日平均40 gとされている。 
c 飲酒開始年齢とアルコール依存症の発症リスクとは関係がない。 
d 女性は男性と比較してアルコールによる臓器障害を起こしやすい。 
e 1日平均飲酒量が増えるとともに虚血性心疾患の罹患率は直線的に上昇する。 
H26(108)-D-1 アルコール依存症の治療について適切なのはどれか。
a 断酒会は匿名参加が原則である。 
b 断酒より容易な節酒を目標とする。 
c 離脱症状にベンゾジアゼピン系薬を投与する。 
d 脳症の予防としてビタミンD を大量に投与する。 
e 抗酒薬を患者に知らせず家族に食事に混ぜさせる。 
H26(108)-E-55 20歳の男性。意識障害のため搬入された。約 1時間前に自殺目的で有機リン系殺虫剤を約 500 ml飲んだことが判明している。救急隊からの連絡によると、救急車内での意識レベルはJCSⅢ-300。体温 36.0℃。脈拍 80/分、整。血圧 110/72 mmHg。呼吸数 10/分。SpO2 100% (リザーバー付マスク 10 l/分酸素投与下)。救急外来への搬入時に嘔吐し、尿失禁と便失禁とがあり、有機溶媒臭が漂っている。
 まず行うべき対応はどれか。
a 除 染 
b 血圧測定 
c 拮抗薬投与 
d 制吐薬投与 
e 緊急血液透析 
H26(108)-E-57 42歳の男性。呼吸困難のため搬入された。庭で木の伐採をしていたところ、蜂に刺された。大丈夫と思い様子をみていたが、数分後に呼吸困難が出現し、救急車で搬送された。意識レベルはJCSⅠ- 2 。脈拍 84/分、整。血圧 80/58 mmHg。呼吸数 32/分。SpO2 93% (リザーバー付マスク 10 l/分酸素投与下)。顔面は蒼白で口唇に浮腫を認める。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めない。吸気時に喘鳴を聴取する。胸腹部、背部および四肢の皮膚に膨疹が多発している。
 急速輸液とともにまず投与すべきなのはどれか。
a リドカイン 
b アトロピン 
c アドレナリン 
d ヒドロコルチゾン 
e プロプラノロール 
H26(108)-G-31 環境問題とその原因物質の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
a 酸性雨 ――――――― 六価クロム 
b 生物濃縮 ―――――― メチル水銀 
c 大気汚染 ―――――― パラコート 
d 飲料水汚染 ――――― ヒ 素 
e オゾン層破壊 ―――― トルエン 
H26(108)-I-15 感染症と原因菌の組合せで誤っているのはどれか。
a Waterhouse-Friderichsen 症候群 ―――― Neisseria meningitidis 
b 偽膜性腸炎 ――――――――――――― Clostridium difficile 
c 細菌性赤痢 ――――――――――――― Salmonella spp.〈サルモネラ属菌〉 
d 院内肺炎 ―――――――――――――― Pseudomonas aeruginosa 
e 食中毒 ――――――――――――――― Vibrio parahaemolyticus 
H26(108)-I-16 ボツリヌス中毒で認められないのはどれか。
a 縮 瞳 
b 眼瞼下垂 
c 輻湊障害 
d 対光反射消失 
e 眼球頭反射消失 
H25(107)-A-20 精神作用物質と離脱症状の組合せで正しいのはどれか。3つ選べ。
a アヘン−−−−−−縮瞳 
b アルコール−−−−発汗 
c 抗不安薬−−−−−不眠 
d ニコチン−−−−−食欲低下 
e メタンフェタミン−疲労感 
H25(107)-A-34 30歳の男性。腹痛と下痢とを主訴に来院した。トレッキング旅行の途中で、自炊していたという。3日前に砂利道で転倒し、左母指と左示指とに挫創を生じた。昨日の夕食は、食事直前に開けた缶詰の牛肉、自分で採取した山菜の炒め物、自分で釣った川魚の塩焼き、自分で作ったおにぎり及び日本酒 1合だったという。夕食の直後には異常はなかったが、約 4時間後に急激に腹痛と下痢とを発症した。発症後、約 3時間経過して症状は徐々に改善しつつあるという。アレルギー歴はない。意識は清明。体温 37.0℃。脈拍 72/分、整。血圧 116/76 mmHg。呼吸数 14/分。臍周囲に圧痛を認める。腸雑音は亢進している。腹膜刺激症状を認めない。診断として最も考えられるのはどれか。
a 亜鉛中毒 
b 農薬中毒 
c アニサキス症 
d 細菌性食中毒 
e 急性アルコール中毒 
H25(107)-D-57 9歳の男児。発熱、腹痛および下痢を主訴に来院した。夏休みに少年野球の合宿に参加していた。合宿から帰宅した翌日の昼から 38℃台の発熱、強い腹痛および頻回の水様下痢があり、血便が認められることもあったという。診察の結果、入院が必要と判断された。さらに患児以外の6名の少年が同様の症状を訴え入院となった。症状を有する全員が前日の昼に合宿打ち上げのバーベキューパーティーで鶏肉を食べたという。入院時の血液所見:赤血球 425 万、Hb 13.5 g/dl、Ht 42%、白血球 13,200 (桿状核好中球 8%、分葉核好中球 66%、単球 3%、リンパ球 23%)、血小板 24万。CRP 9.3 mg/dl。腹部は平坦、軟で、腸雑音は軽度亢進している。臍周囲に圧痛を認める。入院 2日目に腹痛と血便とは消失し、体温も 37℃台と解熱傾向にある。
 原因と考えられるのはどれか。2つ選べ。
a サルモネラ 
b ロタウイルス 
c ノロウイルス 
d 黄色ブドウ球菌 
e カンピロバクター 
H24(106)-A-19 長期にわたる大量飲酒の結果としてアルコール依存症となった患者が、飲酒中止後の数時間から数日以内に発症する可能性が高いのはどれか。2つ選べ。
a 意識障害 
b 過眠 
c けいれん 
d 作話 
e 徐脈 
H24(106)-B-17 作業とその影響の組合せで誤っているのはどれか。
a VDT作業……………頸肩腕症候群 
b 長時間労働……………自殺 
c 鉛取扱い作業…………再生不良性貧血 
d 石綿取扱い作業………肺線維症 
e 振動工具取扱い作業…末梢循環不全 
H24(106)-D-15 アルコール依存症と関係があるのはどれか。2つ選べ。
a Leigh脳症 
b Wernicke脳症 
c Korsakoff症候群 
d Kartagener症候群 
e Lambert-Eaton症候群 
H24(106)-D-28 58歳の女性。嘔吐、腹痛および下痢を主訴に来院した。今朝、自分で弁当を作って夫とピクニックへ行き、昼食の弁当とともに、道沿いで採った山菜、キノコ及び釣った魚をキャンプ場で焼いて食べた。その後、湧き水を沸かしてお茶を飲んだ。約 1時間後、目の前が暗くなり、冷や汗をかいて涙が止まらなくなった。約 4時間後から吐き気と腹痛とを自覚するとともに下痢が始まり、水を飲んでは嘔吐することを繰り返した。7時間後、手掌に軽度のしびれを自覚し、頭がぼーっとするようになったため受診した。同行した62歳の夫も下痢をしたという。同じ弁当を昼に勤務先で食べた娘には特に症状がなかった。体温 37.2℃。脈拍 52/分、整。血圧 114/58 mmHg。発汗を認める。瞳孔径は両側 2 mmである。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、腹部全体に軽度の圧痛を認める。肝・脾を触知しない。腸雑音の亢進を認める。便は下痢便で、潜血を認めない。
 原因として最も考えられるのはどれか。
a キノコ毒 
b 腸炎ビブリオ 
c ノロウイルス 
d 黄色ブドウ球菌 
e カンピロバクター 
H24(106)-E-56 2歳の男児。自宅でぐったりしているところを見つけた母親に伴われて来院した。発見時、患児のそばにジュースの空き缶が転がっており、畳に液体がこぼれていた。同日に自宅を訪問していた父親の同僚が、その缶を灰皿代わりにたばこを吸っていたという。
 注意すべき中毒症状はどれか。2つ選べ。
a 嘔吐 
b 喘鳴 
c 発熱 
d 蕁麻疹 
e けいれん 
H24(106)-G-50 62歳の女性。数日前からの息切れと全身倦怠感とを主訴に来院した。心不全の治療のために専門外来に通っていたが、症状が安定したので 3か月前に自宅近くの診療所を紹介された。同診療所を受診した際、新たに脂質異常症、変形性膝関節症および不眠症と診断され、それぞれに対し3週前から薬物療法が開始されたという。意識は清明。体温 36.2℃。脈拍 96/分、整。血圧 122/88 mmHg。呼吸数 16/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。頸静脈の怒張を認める。心尖部でIII音を聴取する。両側の胸部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を 2 cm触知する。脾を触知しない。両側の下腿に圧痕性浮腫を認める。
 この病態の原因になった内服薬として最も考えられるのはどれか。
a 利尿薬 
b ベンゾジアゼピン系薬 
c HMG-CoA還元酵素阻害薬 
d アンジオテンシン変換酵素阻害薬 
e 非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉 
H24(106)-G-53 54歳の女性。眼の違和感、のどの灼熱感および強い咳を主訴に来院した。風呂場でカビと汚れとを除去するために酸性洗剤をスプレーし、直後に次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする洗剤をスプレーしたところ、眼の症状に続いてのどの症状が出現し、咳が止まらなくなったため救急外来を受診した。意識は清明。脈拍 84/分、整。血圧 132/74 mmHg。流涙が著しい。眼球結膜に充血を認める。
 この患者の症状の原因物質として最も考えられるのはどれか。
a 塩素 
b 硫化水素 
c 一酸化炭素 
d 二酸化硫黄 
e 二酸化窒素 
H24(106)-I-15 金属中毒と健康障害の組合せで誤っているのはどれか。
a 鉛……………貧血 
b 亜鉛…………金属熱 
c ヒ素…………皮膚癌 
d マンガン……感作性皮膚炎 
e カドミウム…腎障害 
H24(106)-I-27 身体依存、精神依存および耐性形成のすべてをきたすのはどれか。2つ選べ。
a 大麻 
b コカイン 
c モルヒネ 
d アルコール 
e アンフェタミン類 
H24(106)-I-34 アスピリン喘息の特徴はどれか。2つ選べ。
a 女性に多い。 
b 季節性がある。 
c IgEを介する。 
d 鼻茸を合併しやすい。 
e インドメタシンは発作の原因とならない。 
H24(106)-I-52 30歳の男性。吐き気と下痢とを主訴に来院した。午後 10時に焼肉とおにぎりとを食べた。午前 1時から嘔吐し始め、水様下痢を伴うようになり次第に増悪したため午前 3時ころ受診した。体温 36.2℃。脈拍 80/分、整。
 原因菌として最も考えられるのはどれか。
a サルモネラ 
b 腸炎ビブリオ 
c 黄色ブドウ球菌 
d 腸管出血性大腸菌 
e カンピロバクター 
H23(105)-D-8 病因と疾患の組合せで誤っているのはどれか。
a 石綿……………………胸膜中皮腫 
b たばこ煙………………COPD 
c パラコート……………間質性肺炎 
d 遊離ケイ酸……………じん肺症 
e ホルムアルデヒド……気管支拡張症 
H23(105)-E-9 中毒と症状の組合せで誤っているのはどれか。
a 急性アルコール中毒……意識障害 
b 局所麻酔薬中毒…………全身けいれん 
c 急性睡眠薬中毒…………頻呼吸 
d 硫化水素中毒……………結膜充血 
e 有機リン中毒……………発汗 
H23(105)-E-14 居住環境を守る視点から建築材料に法定基準があるのはどれか。
a アセトン 
b 塩化ビニル 
c エチルアルコール 
d ホルムアルデヒド 
e シアン化ナトリウム 
H23(105)-G-4 職場の有害因子と生物学的曝露の測定項目との組合せで誤っているのはどれか。
a 鉛………………赤血球中プロトポルフィリン 
b キシレン………尿中メチル馬尿酸 
c スチレン………尿中マンデル酸 
d トルエン………尿中馬尿酸 
e 一酸化炭素……血中メトヘモグロビン 
H23(105)-H-14 一酸化炭素中毒でみられないのはどれか。
a チアノーゼ 
b 意識障害 
c けいれん 
d 呼吸困難 
e 血圧低下 
H23(105)-I-15 食中毒について正しいのはどれか。
a 腸炎ビブリオ食中毒の原因食品は生肉が多い。 
b サルモネラ食中毒の潜伏期間は2~5時間である。 
c ボツリヌス食中毒の治療には抗毒素血清が有効である。 
d ブドウ球菌食中毒の予防には食品の食前加熱が有効である。 
e 毒素原性大腸菌食中毒は溶血性尿毒症症候群〈HUS〉を高率に合併する。 
H23(105)-I-31 産業中毒物質と健康への影響の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
a 鉛………………貧血 
b ニッケル………末梢神経炎 
c ベリリウム……膀胱癌 
d マンガン………Parkinson症候群 
e 無機水銀………視野狭窄 
H22(104)-A-5 覚せい剤精神病でみられるのはどれか。2つ選べ。
a 意識変容 
b 通過症候群 
c 逆耐性現象 
d フラッシュバック現象 
e レム〈REM〉睡眠行動障害 
H22(104)-D-51 45歳の男性。農業に従事している。意識障害のため搬入された。夕食後、倉庫に行ったまま 2時間以上たっても戻らないのを心配した家族が見に行き、倒れているのを発見した。搬送した救急隊員によると、そばに空ビンがころがり、床の吐物には有機溶剤臭があった。意識レベルはJSC II-20。身長 165 cm、体重 58 kg。(中略) 縮瞳を認める。(中略) コリンエステラーゼ 0 IU/l (基準 400~800)、(後略)。
 処置として投与が検討されるのはどれか。2つ選べ。
a 亜硝酸アミル 
b メチレンブルー 
c 硫酸アトロピン 
d アセチルシステイン 
e ヨウ化プラリドキシム〈PAM〉 
H22(104)-G-21 有機リン中毒でみられるのはどれか。3つ選べ。
a 血尿 
b 口渇 
c 縮瞳 
d 発汗 
e けいれん 
H22(104)-H-13 全血検体を室温放置することで低下するのはどれか。(中毒ではないが検査の問題)
a LD 
b AST 
c ブドウ糖 
d 無機リン 
e アンモニア 
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