胸腺腫(Thymoma)
3つの要点
■ 病理学的に良性腫瘍の範疇に入りますが、臨床的に悪性腫瘍と考えられる腫瘍です。
■ 腫瘍が小さければ、胸腔鏡手術が適応されます。
■ 稀な進行期では、抗がん剤治療は効きにくく、可能な限り局所治療が考慮されます。
診断の概説
・手術前に確定診断が付くことはほぼありません。
・画像にて前縦隔に結節または腫瘤があり、造影CTまたはMRIにて嚢胞性ではなく、採血にて腫瘍マーカーの上昇が無ければ胸腺腫が疑われます。
・手術後の病理診断で確定診断となります。
治療の概説
・胸腺腫が疑われた場合、診断と治療を兼ねた手術が勧められます。
・腫瘍が小さければ胸腔鏡手術で行われますが、大きければ胸骨正中切開手術となります。大きな腫瘍では左無名静脈、心膜、肺などの組織の合併切除が行われます。
・周囲に浸潤している場合、手術に加えて放射線治療を行うことがあります。
・進行・再発した胸腺腫の場合、全身治療として抗がん剤治療が考慮されます。
当院呼吸器外科での治療の特徴
■ 当院では小さな胸腺腫に対して、上腹部3cmの縦切開のみで行う胸腔鏡手術を行っています。
■ 胸膜播種した胸腺腫に対して、長期の予後を目指して胸腔鏡手術を繰り返す方法を行っています。
図 胸腺