金子一成教授 今日、わが国の小児医療を取り巻く環境は決して明るくはありません。少子化の一方、小児救急医療の崩壊や児童虐待の増加など、新たな課題、責務も増加しています。さらに診療以外においても大学の小児科学教室は「数少ない総合診療科」として「良き臨床医育成のための研修医・医学生教育における教育面での役割」を今まで以上に求められております。  このような状況で、大学小児科学教室における最優先課題は「若い力」すなわち新入医局員の確保であります。しかしながら平成 16 年度から開始された新臨床研修制度以降、初期研修医の大学病院離れが顕著で、卒後3年目からの専門研修で小児科専門医を目指す若手医師は全国的に減る一方です。  私ども大学病院の小児科医の責務は、病に苦しむこどもやそのご家族の心身の健康を取り戻すお手伝いだけでなく、次代を担う若手医師が少しでも小児医療に魅力を感じるような教育をすることでもあります。幸い、私どもの講座は今年開講77 年という歴史を持ち、この間、レベルの高い研究業績を上げきたのみならず、多くの優秀な小児科医を輩出してきました。その歴史と伝統の力で最近3年間も12名の新しい小児科医の仲間を迎えることが出来ております。しかしこの歴史と伝統に甘んじることなく、小児科を志す若者が一人でも増えるよう、不断の努力を続けてまいります。そのために現在行っている3つの柱は以下の通りです。

1、医学生に小児科医の「夢、喜び、やりがい(3Y)」を伝える

 医学部5年生のクリニカルクラークシップでは大学近隣で開業する同門の先生の外来見学を必修化しています(クリニック実習)。また近隣の先生方と定期的に行っている「病診連携の勉強会」にも参加させプライマリケアで働いておられる先生、二次・三次医療機関で働く先生、それぞれのやりがい、おもしろさを聞かせています。さらに希望する低学年(1年生)学生には夏休みに「体験実習」として小児科医とともに1週間、過ごさせています。

2、初期研修医に小児医療の「夢、喜び、やりがい(3Y)」を伝える

 週3回、教授以下、全医局員が参加し病棟患者のカンファレンスを行い、様々な角度から入院患者さんの病態、治療法、合併症への対応などを話し合い、その輪に初期研修医の先生にも加わってもらい、小児の疾患治癒過程を実感させ、「総合診療」としての小児科のやりがいを伝えています。

3、専門研修医(小児科入局者)に小児医学研究の「夢、喜び、やりがい(3Y)」を伝える

自分が興味を持った疾患、疑問のある病態について自分で研究計画を立て、自ら実験し、解決する喜びを知ってもらうべく、大学院で研究することを時間的、経済的に医局全体でバックアップしています。

 最後に関西医科大学のメインホスピタル、関西医大附属病院は小児科は基幹部門として多数の患者様に信頼して頂いております。これもひとえに患者様はもちろんのこと、近隣開業医、勤務医の先生方や同門会・同窓会の先生方の温かい支援があればこそ、です。この場を借りて厚く御礼申し上げます。今後も相変わらぬご支援、ご鞭撻を切にお願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。

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