小児外科 of 関西医科大学 外科学講座



HOME > 診療グループ > 小児外科

group.png

第2回 日本小児へそ研究会を開催します

会期:平成26年4月14日(土)
会場:リーガロイヤルホテル大阪 2階 牡丹の間
会長:濵田 吉則 (関西医科大学外科学講座小児外科)

キャプチャ.JPGクリックで研究会ホームページに移動します

小児外科

pediatrics_image.png

診療内容

当科で治療している小児外科疾患を列記します。疾患は全身にわたり種類も非常に多いですが、特徴で大別すると以下の3つになります

頻度の高い疾患

  1. そけいヘルニア(陰嚢水腫を含む)は、小児外科手術の中で最も多い疾患です。そけいヘルニアのほとんどは日帰り手術で治療を行っています。女児には1〜2cmの小さな傷で手術をしています。
  2. 停留精巣臍ヘルニアは、ご家族に特別な理由がない限り、安全のために多くは一泊二日で治療しています。腹腔内停留精巣は腹腔鏡補助下に精巣固定術を行っています。
  3. 肥厚性幽門狭窄症は、腹腔鏡手術を国内で最も早く行った実績があり、現在も腹腔鏡手術で治療しています。臍の他に3mmの傷が2か所つきますが、目立たず美容上優れており家族から喜ばれています。
  4. 卵巣膿腫は、新生児から乳児期にかけて縮小傾向のない直径5cmを超える大きなものが手術適応です。腹腔鏡補助下に小さな傷で治療しています。
  5. 漏斗胸は、胸骨を金属バーで体内から持ち上げるNuss法を採用し、安全のために胸腔鏡補助下に行っています。

緊急性の高い疾患

  1. 急性虫垂炎は、強い腹膜炎を併発したり骨盤内膿瘍があるときは開腹手術を選択しますが、術後の美容と創感染軽減のためにできるだけ腹腔鏡手術を行っています。
  2. 腸重積は、小児外科に紹介されてもほとんどは高圧の注腸整復法で治療が完了しますが、整復できないときや全身状態が悪く腸管穿孔も危ぶまれるときは手術を行います。開腹手術が多いですが、腹腔鏡を応用して整復を行うこともあります。
  3. メッケル憩室は、元来健康なこどもが腸閉塞で発症し、原因を特定できずに緊急手術で診断されることが多い病気です。ねじれが加わって腸が壊死すると急に全身状態が悪くなり、ときに命に係わる病気です。全身状態が悪く緊急手術では開腹も行いますが、全身状態が安定している場合は、予定手術で美容上優れた腹腔鏡補助下手術を行っています。

専門性の高い疾患

  1. 新生児外科疾患の多くがこれに当てはまります。疾患としては、先天性横隔膜ヘルニア先天性食道閉鎖症先天性十二指腸閉鎖症先天性小腸閉鎖症臍帯ヘルニア腹壁破裂ヒルシュスプルング病鎖肛(直腸肛門奇形)などがあります。これらの多くは出生前に診断されますので、出生前から厚生労働省の認可を受けた母体・胎児集中治療部(MFICU)と新生児集中治療部(NICU)が中心となって運営している周産期母子医療センターで、産科、小児科などの専門医と娩出法や時期について検討し、周産期から協力して集学的な治療を行っています。他院から出生後に搬送された新生児の場合は、造影検査などによって迅速に診断し、準緊急的に手術を施行しています。ヒルシュスプルング病や鎖肛で人工肛門が必要な場合は、臍部に造設することで根治手術までのパウチ管理が容易になり、閉鎖後は美容的にも優れており有用と考えています。
  2. 悪性腫瘍には、神経芽腫ウイルムス腫瘍肝芽腫奇形腫横紋筋肉腫、悪性リンパ腫などがあります。小児科の腫瘍専門医と連携して症例ごとに検討を行い、化学療法、手術、放射線療法を組み合わせて治療します。準緊急的に救命のための手術を必要とすることもあります。
  3. 胆道系疾患としては、胆道閉鎖症胆道拡張症(膵・胆管合流異常)が代表的です。胆道拡張症は、術後長期にわたる経過観察が必要な病気です。生命予後は良いのですが、再手術が必要になる病気でもあります。多くの経験を踏まえて術前にMRCPやDIC-CTなどの画像診断を行うことで、胆道系の綿密な評価を行い手術に望んでいます。術中も造影検査や内視鏡検査で異常の発見に努め、患者さんひとりひとりに適切な手術を工夫しています。また術後は吻合部を含めた胆道系や共通管から膵管に狭窄、拡張、結石形成などの早期発見に努めています。当科では最近、嚢腫切除後の胆道再建術式別の客観的評価を行い、最適な胆道再建術式の検証を行っています。