食道外科 of 関西医科大学 外科学講座



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食道外科

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食道癌の治療を主に行っていますが,食道アカラシアや逆流性食道炎(胃食道逆流症:GERD)など食道良性疾患の外科治療も積極的に行っています。


食道癌

 わが国では毎年10000人以上の方が食道癌に罹っています。その頻度は胃癌の1/8です。男女比は約6:1で男性に多く、男性では6番目に多い癌です。食道癌の発生要因としては環境因子が重要で、喫煙、飲酒、熱い飲食物の嗜好などが癌の発生と密接に関連すると言われています。
 食道癌に対する治療は外科的切除が標準ですが,当科では消化器内科や放射線科と共同で早期癌に対する内視鏡治療や進行癌に対する化学放射線療法など手術以外の治療も行っています。特に高度進行食道癌症例には集学的治療を積極的に行い、生存率の向上に努めています。平成18年度における初発食道癌の年間症例数は49例で、うち手術症例は36例でした。手術症例のうち、早期食道癌に対しては内視鏡的粘膜切除術や胸腔鏡補助下食道切除術を行っています。進行癌に対しては頸・胸・腹の3領域リンパ節郭清を伴う右開胸開腹食道亜全摘術を標準術式としています。全例に術後持続硬膜外麻酔を行い、術後の除痛に努めています。その結果、早期離床が可能となり、合併症も減少、術後在院期間も短縮しています(平均在院日数約20日)。また、高度進行症例には術前化学放射線療法や術後補助化学療法など集学的治療を積極的に取り入れており、長期生存が得られる症例も少なくありません。なお、治療方法の選択は最終的に患者本人の意思を尊重しており、手術適応症例の約20%に根治的化学放射線療法を施行しています。さらに、切除不能癌に対するステント治療や再発癌に対する治療なども行っており、QOLの改善にも努めています。当科の食道癌手術症例のStage別治療成績は5年生存率:StageI 86.7%,II 61.5%,III 33.5%,IVa 38.6%,IVb 0% (3年生存率: 20%)です。

食道良性疾患

 食道良性疾患には食道アカラシア、逆流性食道炎(胃食道逆流症 : GERD)、食道裂孔ヘルニア、食道憩室、食道良性腫瘍などがありますが、当科では手術の適応になるすべての食道疾患の外科治療を行っています。特に食道アカラシアや逆流性食道炎に対しては積極的に腹腔鏡下手術を施行し、良好な成績を得ています。腹腔鏡下手術の手術侵襲は小さく、短期間の入院で済み、創も目立ちません。近畿でこれらの疾患に対する腹腔鏡下手術を行っている施設は少数です。内科的治療で良くならずにお悩みの方は是非、ご相談下さい。

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