当教室は、1966年に景山直樹教授により創設されました。日本で脳神経外科学講座が開設され始めた頃であり、伝統ある教室です。1971年に二代目松村浩教授が就任し、1993年に河本圭司教授が着任し、教室の益々の発展に、教室員一同日々努力を重ねています。
脳神経外科とは、脳血管障害・脳腫瘍・脊髄疾患・頭部外傷・小児脳疾患・脳脊髄神経の機能的異常といった疾患を外科的に治療する診療科であり、神経に関連する幅広い領域をカバーしています。われわれの施設では、これらの全ての領域に関して積極的に関与しています。簡単に代表的な疾患につき述べます。
脳卒中は悪性新生物、心疾患に次いで、日本人の死因の第三位を占めます。さらに、その罹患率(有病率)から見ると、心臓病を遙かにしのぎます。脳血管障害の代表例は、脳出血・脳梗塞ですが、以前日本人に多かった脳出血は減ってきていますが、その反対に脳梗塞は急速に増加しています。これはおそらく、生活習慣の欧米化が一因と考えられています。特に、若い方の虚血性脳疾患が急増しています。これらの治療の基本は内科的なものになりますが、一部は外科的治療の適応になります。比較的新しい治療として、血管の中から治療する血管内外科という分野がありますが、これらにも力を入れています。
脳腫瘍は大きく分けて悪性腫瘍と良性腫瘍があります。脳腫瘍は、外科的治療・化学治療・放射線治療を組み合わせて治療します。治療方針を決定するためには病理組織が必要です。その為に、少量の腫瘍組織を採る(生検)場合と、最初から腫瘍を出来るだけとる場合があります。例えば悪性星細胞腫(一番多い脳原発の悪性腫瘍です)などの場合、手術で出来るだけとった後に化学治療と放射線治療を組み合わせます。また、転移性脳腫瘍などの場合には、新しい治療法である定位放射線治療(X-ナイフ)で治療を行います。
脊髄疾患は脊髄自体に異常が生じて治療を行う場合と、脊髄の周囲の骨や靱帯に異常が生じ、二次的に脊髄が圧迫されて症状が出る場合があります。脊髄の疾患は、脳外科でも整形外科でも治療をしますが、基本的に脊髄自体に異常が生じる脊髄腫瘍などは、脳外科で扱う施設が多いようです。
小児の脳外科で扱う疾患は、脳動静脈奇形やモヤモヤ病などの脳血管障害、脳腫瘍、頭蓋脊椎移行部の異常、脊髄髄膜瘤などの先天奇形、頭蓋骨の変形など多岐に渡ります。病気によっては大人とさほど治療方法に変わりがありませんが、病気によっては治療法が全く異なることがあり、ただ単に身体が小さいだけではないことが特徴となります。
日本ではあまり注目されていなかった病気の領域に機能外科という分野があります。これは、顔面の痙攣や顔面の痛み(三叉神経痛)を外科的に直す微小血管減荷術やパーキンソン病を治療する電気刺激などが代表的です。われわれの施設では、これらの疾患に対しても積極的に治療を行っています。
(教授 河本圭司)