関西医科大学生理学第二講座にようこそ!

当教室では現在、主に以下のふたつのプロジェクトに取り組んでいます。

(1)システム神経科学

脳と神経細胞

 脳の機能を、それを再現できるまでに理解するには、分子レベルの研究のみならず、個々の神経細胞の活動、神経伝達物質の作用が、集団として、回路として、どのように機能しているのかを解明することが必須です。そのためには、(1)生物の行動そのもの、そして(2)神経生理学的に計測された生物からのデータの両者を関連付けていくことが必須です。本講座はこのシステム的な見地から脳の機能を研究しています。具体的にはヒトを対象とした神経心理学実験と、認知行動課題を訓練した霊長類を用いた電気生理学的、薬理行動学的実験をおこないます。主に、眼球運動を用います。さらに、実験結果に対する数理的解析、ニューラルネットワークモデルからの考察も行います。
 現在主な研究のテーマは以下の通りです。
(1)報酬探索行動の神経メカニズム
(2)対人(サル)関係の神経メカニズム

(2)神経変性疾患に対する予防医学的アプローチ

小脳

 遺伝性神経変性疾患の原因遺伝子が次々に同定され、異常タンパク質が小胞体に蓄積することにより生じる小胞体ストレスが神経細胞死に関係していることが明らかになってきました。本研究室でも、小脳変性マウスの神経細胞死に小胞体ストレスが関係していることを報告しました(Kyuhou S et al, Neurosci Lett, 396:91-96, 2006)。これらの小胞体ストレスによる神経変性疾患に伴って生じる異常脳波についても電気生理学的に解析しています(Kyuhou S et al, Biochem Biophys Res Commun, 350:187-192, 2007)。一方、アルツハイマー病やパーキンソン病の発症に、環境や生活習慣が関与していることが議論されるようになってきました。日本人の高齢化に伴う神経変性疾患患者の増加と医療費負担の急増により、従来からの病態解明や疾患治療の研究ばかりでなく、疾患を予防するための研究も必要になっています。そこで、パーキンソン病の環境危険因子である農薬やそれに対抗しうる抗酸化物質の作用を現在研究中です。また、脊髄小脳変性症に対する根本的な治療法がいまだ確立されていない現在、運動療法は最も重要な治療手段ですが、小脳障害後の運動機能回復には大脳皮質による代償機構が存在することが電気生理学的に観察されているので、その代償機構の分子メカニズムを明らかにし、リハビリテーションの効果を高める手段を、動物実験を用いて探索しています。