関西医科大学iPS・幹細胞再生医学講座

研究概要

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最近、臨床の広い分野において再生医学・再生医療が注目されている。その背景に、従来知られていた造血幹細胞だけでなく、表皮細胞、消化管粘膜上皮細胞、精巣生殖細胞、肝細胞、膵細胞、神経細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、脂肪細胞など多くの細胞群が組織固有の幹細胞システムにより産生されることが明らかにされたことがあげられる。そして、これらの組織特異的な幹細胞(体性幹細胞)を利用した臓器組織の再生が近未来の医療として脚光を浴びている。加えて、これらの組織幹細胞(TCSC)は、固有な組織への分化能以外に、幹細胞が本来所属する組織・臓器の枠組みを超えて分化する現象(可塑性)をもつことが示唆されたことにより、一層、これらの組織幹細胞の再生医療への応用が期待されている。

体性幹細胞としては、造血組織、脳、肝臓など多くの臓器組織に存在するTCSC、あるいは骨髄、臍帯血、羊膜、脂肪組織などに由来する間葉系幹細胞(MSC)などが知られている。最近では、ヒトの骨髄や臍帯血に由来する新規な多能性幹細胞(一部はES細胞様の多能性を示す)の存在も報告されている。しかしながら、TCSCと従来報告されている多能性幹細胞との関連は明らかにされていない。

本講座では、1)骨髄内直接移植法を用いて世界で初めて同定したヒト臍帯血由来CD34抗原陰性造血幹細胞の純化と幹細胞特性の解明、2)骨組織由来微小幹細胞の同定と幹細胞特性の解明(特願)、3)新規白血病幹細胞の同定と腫瘍特異抗原に対するモノクローナル抗体の作製などを主要な研究テーマとして、TCSCの本体の解明と再生医療への応用に関するトランスレーショナル・リサーチを展開している。