B型肝炎は、B型肝炎ウイルスを病原体とするウイルス性疾患です。
成人におけるB型肝炎は、主に血液や精液などの体液を介して感染する感染症です。
感染者の約7割は不顕性となり、自然に治りますが、感染者の20から30%が急性肝炎を発症して、急性の全身倦怠感や黄疸を認めます。このうちの1%前後が劇症化して、死に至ることがあります。また、ウイルスが排除されず持続感染した場合は、慢性肝炎、肝硬変または肝臓癌の原因となります。
日本では、医療行為に伴う感染のリスクはほとんどありませんが、開発途上国では必ずしもそうではありません。
渡航中に不慮の事故や病気に罹って、現地の医療機関を受診する可能性もあり、その時に、血液に汚染された医療器具を介して感染も否定できません。
また、針治療や散髪屋さんのカミソリからも、発展途上国ではB型肝炎の感染を否定できません。
海外で医療行為や救援活動に従事する場合のほか、危険なスポーツや冒険、現地でのピアス、性行為によって感染する可能性もあり注意する必要があります。このため、中国をはじめ、B型肝炎のキャリア率の高い国々へ渡航する場合にはワクチン接種が推奨されます。
予防接種が非常に有効です。
B型肝炎ワクチンの接種が有効です。
わが国では、2種類のB型肝炎ワクチンが販売されていますが、いずれを選択しても、予防効果や副反応の出現頻度は変わりありません。
基本的に3回接種です。初回接種後3週間から4週間あけ、2回目の接種を行います。3回目は3ヶ月から6ヶ月後に接種しますが、時として、1年後に接種する場合があります。海外赴任の場合、しばしばあります。
ただし、前回述べたA型肝炎ワクチンと比較して、抗体の付きがあまり良くありません。幼児や小児ではほぼ100%抗体ができるのに対し、高齢者では80%程しか抗体ができません。抗体のできないヒトをノンリスポンダーと言います。平均すると10人に1人ぐらい出ます。抗体の付かなかったヒトはもう一度3回接種することになります。
尚、最近わが国では、幼児期にB型肝炎ワクチンを接種する気運が起こり、近々、B型肝炎ワクチンがユニバーサルワクチンとして幼児全員に接種される時代が到来すると思います。