Dr.西山の渡航外来よもやま話

第5回 日本脳炎ってどんな病気?

日本脳炎ってどんな病気?

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを保有する蚊(主にコガタアカイエカ)がヒトを刺すことで感染する重篤な急性脳炎です。
わが国では、幼小児期において、ワクチン接種や生活環境の整備により、西日本を中心に年間数名程度の患者が報告されている感染症ですが、海外では東アジア、東南アジアおよび南アジアにかけて広く流行しており、年間数万人が発症しています。
発症率は0.1〜1%と推定され、ほとんどは不顕性感染で何ともなく治癒していきますが、いったん発症すると致死率は約20%で、半数以上に麻痺などの重篤な後遺症が残ります。流行地では、ヒト、ブタと水田が揃えば(つまり田舎というわけですが)、日本脳炎感染のリスクは高くなります。

予防

日本脳炎ワクチンの接種により、高い予防効果が得られます。
幼小児期において、定期予防接種などの基本免疫が確立している場合、初回接種から3〜4週間の間隔で2回目の接種を行うことにより、十分な抗体が得られると考えます。また、我が国の一部の地域では定期予防接種に日本脳炎を組み込んでいない地区もあり、日本脳炎ワクチンの接種回数はトラベラーズワクチンドクターと十分相談の上、決定してください。

分布




文責:海外渡航者医療センターセンター長 西山利正