微生物学講座では・・・
ウイルス、なかでもレトロウイルスという仲間のウイルスを中心に研究しています。
ヒトに感染するレトロウイルスとして世界で最初に発見されたのがHTLV-1 (ヒトT細胞白血病ウイルス1型)です。HTLV-1は、悪性の血液の"がん"である成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスです。日本国内には、HTLV-1に感染している人が100万人以上いますが、そのうち、毎年数百人のひとが白血病を発症し、ひとたび発症するとほとんどの場合、治療法はありません。
微生物学講座では、どのような理由で一部の人だけが発症するのか、また、どの様にすれば発症が抑えられるのかを研究しています。
エイズの原因ウイルスとして今や有名となった、HIV−1(後天性免疫不全ウイルス1型)もレトロウイルスです。エイズ撲滅に向けて世界中で活発な研究が進められていますが、未だ感染者の増加を防ぐことは出来ず、感染者の数は現在、全世界で4000万人に達しています。日本においても、まだ感染者が増加し続けています。
微生物学講座では、研究成果を新しい治療薬の開発につなげることを目標に、このウイルスの侵入機構と複製機構に焦点を当てた基礎的な研究を進めています。
一方、治療が難しい"がん"や遺伝性疾患に対する新しい治療法として期待されている遺伝子治療におけるベクター(遺伝の運び屋)として、レトロウイルスを中心としたウイルスベクターの開発が重要な課題となっています。
そこで、微生物学講座では、ウイルスベクターをはじめ、近年、新しいタイプのワクチンとして研究が進むDNAワクチンを用いた、がんや感染症の治療法の開発を試みています。