ご挨拶

池原教授 池原は、昭和60年に関西医科大学病理学第一講座教授として着任し、この間、自己免疫疾患に代表される難病の病因の解明と根治療法の確立のため、モデルマウスやサルを使ったトランスレーショナル・リサーチを中心に仕事をしてきました。特に、サルの実験では、盆も正月も返上し、苦しみの連続でしたが、教室員の努力の結果、骨髄移植の革新的技術(灌流法+骨髄内骨髄移植法)を開発しました。この方法は、ドナーやレシピエントにとって、従来の骨髄移植に比べて負担も軽く、非常に有望な治療法であります。

 動物実験では、この革新的技術を用いることによって、造血幹細胞のみならず、間葉系幹細胞も正常のものと置換できるため、造血系の異常のみならず、間葉系の異常によって発症してくる難病(アルツハイマー病,骨粗鬆症,肺気腫,II型糖尿病等)も治療できる可能性が出てきました。

 これらの事実に基づいて、"病は気から"ではなくて、"病は骨髄から"と考えております。この新しい骨髄移植技術が広くヒトへ応用され、難病という言葉が一日も早く、この世から消え去ることを祈っております。

 池原は、病理学第一講座教授時代の平成15年度に開設された「再生移植治療学大塚製薬寄附講座」を、平成21年度まで併任教授として務めてきました。

 平成21年、病理学第一講座教授を退任し、「再生移植治療学大塚製薬寄附講座」を発展的に改組し、平成22年度より、「共同研究講座(大塚製薬株式会社)幹細胞異常症学Department of Stem Cell Disorders (Joint Research Facility Sponsored by Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd.)」を守口市の滝井の2号館6階に開設し、平成25年4月より枚方市に移転し、現在もこの新学舎にて研究を継続しております。