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枚方病院では、男性更年期障害(LOH症候群)診療は自費診療となります
なお、検査の結果、保険診療が適当と判断される病態の場合は、保険扱いとさせていただきます。
男性更年期障害(LOH症候群)の主な診療内容は、症状の把握のほかに、男性ホルモン値を主とする血液検査、男性ホルモン補充療法などです。検査や治療において、診療内容が健康保険の規定に合わない点が生じています。そこで、平成23年3月1日から、男性更年期障害(LOH症候群)の診療をすべて自費診療とさせていただくことにいたしました。患者さま各位には大変ご迷惑をおかけしますが、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
実際の診療にかかる費用は、初診時(血液検査を含む)に約2万6千円、再診時(薬剤投与を含む)に4000円ほどです。
男性更年期障害は、年齢とともに男性ホルモンが徐々に低下することによって、様々な症状が現れる疾患です。これまでは女性の更年期障害が社会的のも多く議論されてきましたが、近年、男性にも女性と同じように更年期障害のあることが明らかとなり、注目されています。
発症には、この年齢の男性に襲い掛かるさまざまなストレスも大きく関与していると考えられています。個人によって、男性ホルモンの値に個体差があり、また、同じ男性ホルモンの値でも症状の出る人も出ない人もあります。どのような男性で更年期障害が発症するか、まだ明らかではありません。
最近では男性更年期障害による症状だけではなく、加齢に伴う男性ホルモンの低下により生じるさまざまな身体状況の悪化を指す言葉として、加齢男性性腺機能低下症候群(late-onset hypogonadism:LOH(ロウ)症候群)との呼称が提唱されています。

私ども関西医科大学では、2002年1月から男性更年期専門外来を開始し、多数の患者さんの診療を行っています。日本においても男性更年期障害という言葉が、テレビ番組や新聞、雑誌などで取り上げられたのを機に広く知れ渡るようになりました。
最近ではインターネットで自分の症状について検索した結果、みずから男性更年期障害の疑いを持つようになり受診される方も多いようです。
これまでに関西医科大学男性更年期外来を受診した患者さんの年齢層をグラフに示します。

患者さんの多くは45歳から65歳ぐらいの男性で、以下のような症状を訴えます。ただし、男性更年期障害以外の病気でもこれらの症状が出ることがあり、診断には血液検査などの結果を見て慎重に判断しなければなりません。
関西医科大学泌尿器科男性更年期外来を受診した患者さんが訴えた主な症状を表に示します。
| 分類 | 症状 | 有症状率(%) |
|---|---|---|
| 精神症状 | 倦怠感、易疲労感 | 81.6 |
| 気力低下 | 72.4 | |
| 仕事の能力低下 | 52.9 | |
| 集中力低下 | 52.2 | |
| いらいら感 | 39.3 | |
| 性機能障害 | 性欲低下 | 78.3 |
| 勃起力低下 | 69.3 | |
| 身体症状 | 不眠 | 51.3 |
| 筋力低下 | 50.2 | |
| 肩こり | 47.6 | |
| 排尿障害 | 39.0 | |
| ふらつき | 36.6 | |
| 頭重感 | 36.4 | |
| 睡眠剤常用 | 36.4 | |
| 耳鳴 | 35.3 | |
| 発汗過多 | 33.6 | |
| 四肢冷感 | 32.0 | |
| 動悸 | 31.6 | |
| 便通異常 | 31.6 | |
| 頭痛 | 31.4 |
n = 456
診断は、自覚症状を正しく把握すること、男性ホルモン値を測定すること、他の疾患を除外することによって行われます。初診時に行う検査は以下のようになります。
男性ホルモンの測定にあたっては、午前11時までに測定する必要があるため、病院にお越し頂いた時間によっては、後日改めて採血に来て頂くようお願いすることがあります。また、ある種の薬剤を服用している方では、その薬剤を一旦中止してしばらくしてからの採血をお願いすることがあります。
2回目の診察で、症状と男性ホルモンの値によって治療方法を相談します。


男性更年期障害の本質は男性ホルモンの加齢に伴う減少ですから、治療としては男性ホルモンを補うことが理にかなうと考えられます。これを「男性ホルモン補充療法」と呼びます。
男性ホルモン補充療法は男性ホルモンの値が低い方が対象となるわけですが、加齢による男性ホルモンの減少の程度は個人により差があると考えられます。また、若い頃の男性ホルモンの値も個人差があると考えられ、適応基準値については明確な線引きは困難なところです。そのような中で現在日本では、40歳以上で遊離型テストステロンが、20歳代男性の95%が該当する範囲の下限である8.5 pg/mlを下回る場合に男性ホルモン補充療法を治療の第一選択として考えることとしています。また、20歳代の平均値の70%に相当する11.8 pg/mlまでを境界域として、これを下回る場合に男性ホルモン補充療法を治療選択肢の一つとすることが提唱されています。
もし男性ホルモンの補充療法を行う場合は、前立腺癌がないことを確認するために、血清前立腺特異抗原(PSA)を調べる採血を行うと同時に、前立腺の触診を行って異常のないことを確認してから治療を開始します。
男性ホルモン補充療法として、現在のところ私どもが使用できる適切なお薬は注射薬しかありません。3から4週ごとに注射することになります。
男性ホルモンの投与によって、次のような効果が期待できます。

男性ホルモンは、本来からだの中にある物質ですから、治療として体外から補充しても余り大きな心配はありませんが、以下のような副作用の可能性があるとされています。
このようなことから、投与前および投与中には、以下のような検査が必要です。
私どもは治療開始から3ヵ月目にその効果を判定し、有効と判断された場合はさらに3ヵ月の投与をおこないます。その場合、合計して6ヵ月間の治療を行うことになりますが、その後は上記にある理由から、一旦治療を終了して経過をみるようにしています。

2002年1月に男性更年期専門外来を開設して以来、500名を超える患者さんを診療し、200名以上に男性ホルモン補充療法を行ってきました(2008年12月現在)。3ヶ月目に効果判定を行った患者さんの有効率を以下に示します。約半数の方に治療が有効と判定されることになりますが、現在のところどのような方に治療が有効となりうるのか、治療前に予測することは困難です。しかし、治療前の男性ホルモンがより低い方々で、効果が出やすい傾向が認められます。
男性ホルモン補充治療が有効でなかった場合、もともとの症状として抑うつが主なものであった方には精神科や心療内科への紹介を、性機能低下が主な症状であった方には勃起不全治療薬の処方など、個々の症状や状況に応じたあらたな治療方針を患者さん自身と相談して決めるようにしています。
