Dr.西山の渡航外来よもやま話

 

第3回 A型肝炎ってどんな病気?

 A型肝炎とは、A型肝炎ウイルスという病原体を経口接種して感染するウイルス性疾患です。このA型肝炎ウイルスはA型肝炎に感染しているヒトの糞便に含まれています。つまり、ヒトの「ウンチ」を食べることによって感染します。ここで、ほとんどの人が、私は「ウンチ」を食べたことがないので関係ないよ、と思われるかもしれませんが、医学的にミクロの目でみますと、我々が日常食べる食品には、時として大腸菌が混入することがあります。1996年堺市でカイワレダイコンと思われる食品により集団発生した腸管出血性大腸菌O157感染症、最近では2011年、生レバーによる同菌感染症が話題になっています。医学的に大腸菌がいるということは「ウンチ」に汚染されていると同義語となります。

 つまり、私たち日本人が、このような衛生水準お高い国に住んでいても、日常的に大腸菌つまり「ウンチ」に汚染されたものを食べているということです。ただし、普通の大腸菌であれば、ヒトに病原性を持たないので、病気にならず目立たないのです。さらに、先進国といわれる国々では衛生水準が高いので、糞口感染する病原体が少なく、余計目立たないわけです。ところが、中進国や発展途上国ではどうでしょう。日本と同じような食生活を行うと、当然色々な疾患に罹患にかかってしまいます。

 A型肝炎は食中毒と並んで糞口感染する病気の代表的なものです。


分布

 いわゆる先進国以外の広い地域で、蔓延しております。












臨床症状

 潜伏期は2から6週間と言われ、感染初期は発熱、全身倦怠感から始まり、肝機能障害を起こし、黄疸など肝炎症状を起こします。一般的には経過は良好で、安静と適切な治療で回復します。ところが最近、劇症肝炎に移行し死に至る症例も報告され、注意が必要です。


予防

予防接種が非常に有効です。

日本製のA型肝炎ワクチンは極めて優秀で、3週間程度の間隔で2回接種することにより、3〜5年の感染予防効果があります。その後、3〜6ヶ月あけて、3回目を接種すると5〜10年間予防できます。

A型肝炎ワクチンはトラベラーズワクチンの代表的なものです。


         文責:海外渡航者医療センターセンター長 西山利正



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