Dr.西村の渡航外来よもやま話

 

第2回 トラベラーズワクチンって何?

 トラベラーズワクチンは、海外渡航時に接種対象となるワクチン接種を指します。不活化ワクチン、トキソイドワクチン、生ワクチンと分類されます。

トラベラーズワクチンの接種する目的は下記の3つに分けられます。

1:個人の感染症予防のため: 最も理解しやすい理由です。

2:生活する社会を守るため: 欧米での寄宿舎やメッカ巡礼で、髄膜炎菌性髄膜炎の流行をさせないためなど。

3:国を守るため: 黄熱病非流行国に黄熱病を流入させないためなど。


トラベラーズワクチン接種の難しさ:

 不活化ワクチンは初回免疫の場合、複数回接種しなければならないものが多く、また、過去に接種歴のある場合、1回の接種で十分抗体価が得られる場合と、2回以上接種しなければならない場合があり、トラベラーズワクチンドクターの判断が必要となります。接種においても複雑な決め事があります。不活化ワクチンやトキソイドワクチンを一度接種しますと1週間以上開けないと次の予防接種ができません。また、生ワクチンの場合、4週間開けないと接種できません。

 以上のことから、トラベラーズワクチンの接種は少なくとも1ヶ月以上前から開始しなければなりません。B型肝炎の場合少なくとも3ヶ月前には接種し始めないと間に合いません。予防接種は、計画的にしないと中途半端になりますので注意が必要です。

 具体的にトラベラーズワクチンは下記の様に分類されます。

1)不活化ワクチン: A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、日本脳炎、腸チフス、髄膜炎菌性髄膜炎、ダニ脳炎、コレラ、インフルエンザ、ポリオ、ヒトパピロマウイルス感染症、肺炎球菌感染症、インフルエンザb菌感染症など

2)トキソイドワクチン: 破傷風、ジフテリアなど

3)生ワクチン: 黄熱病、麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘、コレラ、ロタウイルス感染症、ポリオ、BCGなど

このように、たくさんあるトラベラーズワクチンのそれぞれの特性を知り尽くしたドクターでないとワクチン接種は難しいわけです。


         文責:海外渡航者医療センターセンター長 西山利正



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