特異的免疫誘導療法(減感作療法)のお知らせ

  1. 食物経口免疫耐性誘導療法(経口減感作療法):食物アレルギーの原因となる食物を食べて症状が出る場合、原因食物の除去を行うことが治療の基本です。しかし除去はずっと続くのではなく、0歳から1歳頃に診断された食物アレルギーの多くは成長とともに食べられるようになる事が多く認められます。しかし最近では乳幼児期にアレルギ−検査が高値の場合は16歳になっても50%以上食べられないという報告があります。また特にアトピー性皮膚炎や気管支喘息合併例に食物アレルギーが遷延する例(いつまでも食べられない)が多く見受けられます。完全除去を続けているのにもかかわらず、アレルギー検査が上昇し続け、いつまで経っても卵や牛乳、小麦などが食べられない患者がたくさん見受けられます。その人たちの家庭環境、学校や幼稚園等ではゴミやほこりに食物アレルゲンの混入がありそれらが炎症のある皮膚や気道に侵入し、IgEが上がる(上昇)すると考えられます。いつまで経っても食物アレルギ−が治らない方はまずアトピー性皮膚炎や喘息の治療を十分にされ、状態を良くして積極的に食物経口免疫耐性誘導療法(経口減感作療法)をされることをお勧めします。食物経口免疫耐性誘導療法には緩徐法と急速法があります。             

    緩徐特異的経口耐性誘導法とは負荷試験で閾値(症状が出現する量)を決定し、その1/4-1/2量を外来で負荷、その後は週2回自宅で同量を負荷し、1-2か月毎に外来で1.5-2 倍に増量し、年齢にもよりますが卵焼き1/2個、牛乳100ml、うどん100gを目標とします。

    急速特異的経口耐性誘導法とは負荷試験での閾値量の1/10から開始し、1.2倍ずつ1日5回増量します。これを連日実施し、アレルギー症状の出現をもって終了します。自宅で週2 回、その量の負荷を継続します。1-2ヵ月後に再度負荷試験(外来および入院)の上で増量し、緩徐法と同様に卵焼き1/2個、牛乳100ml、うどん 100g摂取することを目標とします。

    当施設での緩徐法での成績は卵では対象の30例中23例で規定の摂取量を平均6ヶ月で終了できました。部分緩解(卵で1/4個:10g)は5名で、中止したのはわずかに3名でした。また小麦では対象の15例中7例は平均7ヶ月で終了できました。部分緩解(うどん20g)は5名で、中止となったのは3名でした。牛乳に関しては緩徐法では殆ど目標に達せず、現在急速法を施行中で8例中全例20ml摂取可能で2例はヨーグルトで70g以上摂取できています。緩徐方法は安全で施行でき、成功率も高いですが、時間がかかることまた重症(閾値が低い)ではうまくいきません。また食物の種類によっても成功率がことなります。卵.小麦、牛乳の順番で成功率が下がります。急速法は牛乳アレルギ−患者や卵・小麦の重症アレルギ−患者に今後有効な治療法と考えます。
  2. 吸入抗原免疫耐性誘導療法(減感作療法):近年小児のアレルギ−疾患は増加しており、小児喘息やアレルギー性鼻炎の低年齢化が進んでいます。馬場らが提唱したアレルギーマーチは乳児時期に食物抗原が原因でアトピー性皮膚炎があり、幼児期になると吸入抗原(ダニ、花粉)が原因の小児喘息やアレルギー性鼻炎を発症する一連の年代別の症状をさし、アレルギー体質のお子様は常になんらかのアレルギー症状を持ちつづけなければなりません。食物アレルゲンは乳児期に食事制限を行なうと3歳までに耐性すなわち摂取できるとされています。ただダニや花粉が原因の小児喘息、アトピ−性皮膚炎やアレルギー性鼻炎はステロイド吸入やステロイド軟膏などの対処療法しかなく、一生治療を続けなければならない可能性があります。近年アレルギー治療法として免疫療法は注目を浴びています。ダニや花粉などの吸入抗原に対するアレルギー反応に対し減感作療法などが有効であるという報告がありますが、吸入抗原を原因とする小児の喘息、アレルギー性鼻炎、とりわけアトピー性皮膚炎に対しては安全かつ有効な治療法は確立されていません。急速減感作療法すなわち、少量から抗原を体内に入れ、1−2週間で維持量に達するこの方法は、成人の蜂アナフィラキシー、ダニ喘息、スギ花粉症では短期間で有効かつ安全に施行できたという報告がありますが、小児のアレルギ−患者での報告はありません。お子様にもよりますが、おおむね1週間から2週間で維持量に達することができます。その後、外来で1ヶ月間は週に1回、1ヶ月頃からは月に1回注射をうけ、概ね最低1年以上継続します。アレルゲンを実際体内にいれて増量する急速減感作療法は、急速に体内にアレルゲンを飽和することで免疫の寛容が生じることが期待でき、アレルゲンに耐性即ち症状の改善が期待されます。お子様にダニや花粉が原因の小児喘息、アトピ−性皮膚炎やアレルギー性鼻炎に急速減感作療法を行うことによって、喘息やアトピ−性皮膚炎、花粉症などの症状が極めて永久的に改善すなわち治癒できる可能性があります。

    方法・期間:まず入院して原因となるアレルゲン(ダニ、花粉)を10倍ずつに希釈したテスト液をつくり、皮内テスト(皮膚テスト)により、アレルゲンの反応性を検査し、反応閾値を決定します。翌日、反応閾値の10倍の濃度のアレルゲンを0.1ml皮下注射あるいは舌下に滴下します。2時間毎に3倍づつ増量し、アレルゲンエキスが10倍濃度の0.1mlになれば維持とし、退院していただきます。概ね入院期間は5日から1週間となります。退院後1ヶ月は維持量を週に1回、投与し、1ヶ月後からは月に1回となる。入院前と退院時におよび退院後6ヶ月に採血を行い、原因アレルゲンに対する血清のIgEあるいは IgG,IgG4,アレルゲンに対するHRT(ヒスタミン遊離試験)、プリックテスト、喘息の場合は呼吸機能を行います。 入院前と退院時におよび退院後6ヶ月に採血を行い、原因アレルゲンに対する血清のIgEあるいはIgG,IgG4,アレルゲンに対するHRT(ヒスタミン遊離試験),プリックテスト、呼吸機能(喘息)を行います。入院中アレルギ−症状が出現すれば、抗ヒスタミン薬、エピネフリン注射の投与を行うこともあります。また症状がコントロールできない場合、試験を断念せざるを得ない場合もあります。退院後万が一自宅でアレルギー症状が出た場合、すぐに電話で連絡、必要であればいつでも受診できる体制を整えています。不明な点はメールフォームへ

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