研究内容research

kenkyu



幹細胞とは

哺乳類のほとんど全ての組織は速度の差こそありますが細胞代謝(turnover)によって常に置き換わっています。この細胞代謝を支えているのが成体組織幹細胞です。近年の研究によって幹細胞は組織の維持だけでなく、がん化、老化、修復・再生など多くの重要な生命現象の中枢を担う極めて重要な細胞である事が分かってきました。成体組織幹細胞の研究はこれらを集めて移植する再生医療への応用だけでなく、こうした生命現象の理解を通じ種々の疾患に体する新しい治療法の開発につながります。



マルチカラー細胞系譜追跡法

当講座ではこうした解析の難しい臓器・組織における幹細胞の同定のためにマルチカラー細胞系譜追跡法を開発して様々な臓器の幹細胞を同定し解析しています。幹細胞の正確な追跡には幹細胞を生きたまま長時間観察することが必要ですが、細胞を生きたまま標識する目的で以前からEGFP(緑色)が用いられてきました。しかし、近年イソギンチャクから取られたRFP(赤色)と、それを元にして様々な色を発色する変異体が開発され、これらとCre-loxpなどの技術を組み合わせると、当講座の技術では現在10色もの色で標識仕分ける事が可能です。



幹細胞の同定

古くから研究されて来た成体組織幹細胞は造血幹細胞、腸上皮幹細胞の様に細胞代謝が極めて早く解析のしやすいものが中心でした。しかし、細胞代謝速度の遅い臓器にも幹細胞は存在しますが、解析の難しさから多くの臓器の幹細胞はまだ見つかっていないか詳しい性質が不明です。一方で、そうした臓器にも我が国のがん発症数・死亡者数を考えると極めて重要な臓器が多く含まれています。当講座では上記のマルチカラー細胞系譜追跡法によって、種々の臓器の幹細胞の同定を進めています。



幹細胞の発生

各臓器は胎児期の前駆細胞からそれぞれ発生しますが、一部の臓器ではそれら前駆細胞に特異的に発現する遺伝子が同定され、そうした前駆細胞が2種類以上の組織へと分化する機序が明らかとなって来ています。成体組織幹細胞は一部そうした胎児期の前駆細胞と発現遺伝子が共通であり、類似した性質を有している一方、胎児期と成体期では全く異なる面も明らかとなっています。一方で、成体組織が障害を受けたり、がん化する場合にこうした胎児期の前駆細胞にしか認められない遺伝子の発現が認められる場合もあります。よって幹細胞がいかに胎児期から発生してくるかを研究する事は組織のがん化、再生を考える上で重要です。


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