衛生学講座

《研究概要》

1.複数の内分泌撹乱化学物質が共存した場合の転写活性については、相乗性を示すか否かについて議論 されてきた。これまで、ブドウ果皮等に含まれる天然化学物質であるレスベラトロールが、動物細胞と酵 母を用いた転写活性測定系において異なる挙動を示すことが報告しているが、さらに各種動物細胞を用い て検討を加えた。その結果、サル由来のCos-7細胞においては、レスベラトロールはエストラジオールの 共存下で相加性を示したが、ヒト由来のHeLa細胞およびMCF-7細胞においては転写活性の相加性は認め られなかった。用いた細胞の動物種の違いによりエストラジオールとの相加性に関して相違が生じた原因 は不明であるが、転写活性化に関る転写共役因子の種類および性質の動物種による相違が、複数のリガン ド共存下における転写活性に影響する可能性が考えられる。

2.TDIをはじめとするイソシアネート類により惹起される職業性アレルギー発生機構の解明をめざしモ デルマウスを用いた研究を継続してきた。繰り返される呼吸器アレルギーをはじめとする慢性炎症気道症 候群においては、気道のリモデリングが基本病態に関わる重要な因子として注目されている。長期にTDI に感作したマウスにおいても気道上皮基底膜の肥厚が観察された。またこのモデルマウスにおいては呼吸 器系に浸潤する炎症細胞は必ずしも好酸球優位ではなくリンパ球が多数みられた。長期TDI感作マウスの 脾臓内リンパ球を培養刺激したところTh1サイトカインであるIFN-γよりもTh2サイトカインであるIL-4の 産生が優位となっておりTh1/Th2比が後者にシフトしていることが示唆された。現在気道系に存在する炎 症細胞のキャラクターを解析中である。



《研究業績》

原  著

  1. Furukawa T, Adachi Y, Fujisawa J, Kambe T, Yamaguchi-Iwai Y, Sasaki R, Kuwahara J, Ikehara S, Tokunaga R and Taketani S (2001)
    Involvement of PLAGL2 in activation of iron deficient- and hypoxia-induced gene expression in mouse cell lines.
    Oncogene 20:4718-4727
  2. Taketani S, Furukawa T and Furuyama K (2001)
    Expression of coproporphyrinogen oxidase and synthesis of hemoglobin in human erythroleukemia K562 cells.
    Eur J Biochem 268:1705-1711

学会発表
  1. 河野比良夫, 徳永力雄 (2001)
    内分泌撹乱化学物質の転写活性 (第3報).
    第71回日本衛生学会総会, 福島
  2. 古川高子, 徳永力雄, 竹谷 茂 (2001)
    鉄欠乏条件で誘導される分子群の解析.
    第71回日本衛生学会総 会, 福島
  3. 西尾信宏, 田中健一, 徳永力雄 (2001)
    イソシアネート類感作動物におけるアレルギー性炎症像の研究 ―病理像を中心に―.
    第74回日本産業衛生学会総会, 高知
  4. 古川高子, 足立 靖, 徳永力雄, 竹谷 茂 (2001)
    鉄欠乏条件において誘導される分子群の解析.
    第73回日本生化学会大会, 横浜

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