法医学講座

《研究概要》

(1) DNA解析による血液型判定法の確立と多型細分化の検討  MN式血液型遺伝子の塩基配列について詳細に検討し,その多型性を細分化する研究を継続している.また,Se式血液型のallele-specific PCR amplification法による簡易検査法を確立し、fusion geneであるsefus遺伝子の成因についての新たな知見を見出した.さらに血液型等を用いる親子鑑定の父権肯定確率の計算用に、インターネットWebページで誰もが利用できるプログラムの開発を始めた.

(2) 糖尿病マウスに対する長期エタノール摂取の影響  2型糖尿病KK-Ayマウスを用いてエタノールを長期間摂取させ、尿糖発症率および生存率を同月齢の対照と比較検討したところ、糖尿病マウスのエタノール摂取は糖尿病をより悪化させ、寿命を著しく縮めることを見出した.

(3) 薬物抽出法の開発  従来の液-液抽出法では使用出来なかったアセトニトリルを用いた新しい抽出法(氷点下液-液抽出法)を確立し、ベンゾジアゼピン系薬物の分析に応用した.この代替法として室温でアセトニトリル相と水相に分離する方法として塩化ナトリウムや酢酸アンモニウムを用いた抽出法を考案し、ベンゾジアゼピン系薬物やバルビツール酸系薬物に応用した.これによって従来法に比べて下記の点が改善された.
 1.水溶性有機溶媒を用いるので、抽出溶媒を再処理することなく高速液体クロマトグラフで分析することが可能となり、分析が簡便化された.
 2.ドラフトが整備されていなくても抽出が可能となった.
 3.抽出溶媒を気化・濃縮させる場合にトラップが容易なため、大気中への放出を軽減できた.

(4) 脳波自動解析システムの脳死判定への応用  脳死判定で脳波検査を実施する場合、脳死判定時の脳波検査における補助手段の一つとして有用であると考えられる脳波自動解析システムを用いた脳死判定時の脳波の解析を引き続き行った.また、神経所見が評価しにくいとされ、脳波の診断的意義は重要であると考えられている小児の脳死時の脳波を脳波自動解析システムで解析し、検討を加えている.

《研究業績》

原  著

  1. Yokota M, Mitani T, Tsujita H, Kobayashi T, Higuchi T, Akane A and Nasu M (2001)
    Evaluation of prostate-specific antigen (PSA) membrane test for forensic examination of semen.
    Legal Med 3: 171-176
  2. 吉田 学, 赤根 敦, 沖井 裕, 西川眞弓, 西岡 裕, 綿引利充, 土橋 均 (2001)
    分析用試験紙による清涼飲料水中六価クロム検出法の検討.
    法医の実際と研 44: 125-129

総  説

  1. 赤根 敦 (2001)
    DNA鑑定.
    からだの科学 (216): 102

学会発表

  1. 岩瀬正顕, 神崎清一郎, 田中孝也, 中谷壽男, 沖井 裕, 赤根 敦, 河本圭司 (2001)
    臨床的脳死判定時のCT所見.
    第6回日本脳神経外科救急研究会, 吹田
  2. 綿引利充, 沖井 裕, 吉村澄孝, 時安太久磨, 吉田 学, 赤根 敦 (2001)
    糖尿病KK-Ayマウスに対する長期エタノール摂取の影響. −ICRマウスとの生存率の比較−.
    第21回アルコール医学生物学研究会学術集会, 東京
  3. 水上 創, 赤根 敦, 塩野 寛, 吉田将亜, 小川研人, 斉藤 修, 上園 崇, 清水恵子 (2001)
    MN式血液型遺伝子多型の細検討.
    第85次日本法医学会総会, 久留米
  4. 綿引利充, 沖井 裕, 吉村澄孝, 時安太久磨, 吉田 学, 赤根 敦 (2001)
    糖尿病マウスに対する長期エタノール摂取の影響.
    第85次日本法医学会総会, 久留米
  5. 赤根 敦, 吉田 学, 吉村澄孝, 沖井 裕, 綿引利充, 時安太久磨 (2001)
    HTMLとJavaScriptによる父権肯定・否定確率計算Webページの作成.
    第85次日本法医学会総会, 久留米
  6. 吉田 学, 赤根 敦, 沖井 裕, 吉村澄孝, 時安太久磨, 綿引利充, 西川眞弓, 土橋 均 (2001)
    代替液-液抽出法の検討.
    第85次日本法医学会総会, 久留米
  7. 三谷友亮, 横田 信, 小林哲哉, 辻田浩司, 樋口豊治, 赤根 敦 (2001)
    法医学的精液検査におけるPSA簡易検出キットの評価.
    第85次日本法医学会総会, 久留米
  8. 吉田 学, 赤根 敦, 沖井 裕, 綿引利充, 西川眞弓, 土橋 均 (2001)
    新液-液抽出法の開発とその意義.
    日本法中毒学会第20年会, 松江
  9. 鎌田 徹, 西川眞弓, 土橋 均, 吉田 学, 沖井 裕, 赤根 敦 (2001)
    ホルマリン固定臓器中薬毒物の分析.
    日本鑑識科学技術学会第7回学術集会, 東京
  10. 赤根 敦. HTMLとJavaScriptで作製した父権肯定・否定確率計算Webページの改良 (2001)
    日本DNA多型学会第10回学術集会, 岡山
  11. 水上 創, 赤根 敦, 小川研人, 吉田将亜, 中屋敷 徳, 青木康博, 塩野 寛 (2001)
    グリコフォリンA遺伝子多型の詳細検討 (2).
    日本DNA多型学会第10回学術集会, 岡山

著  書

  1. 赤根 敦 (2001)
    親子鑑別.
    臨床のための法医学, 第4版 (澤口彰子, 佐藤喜宣, 武市早苗, 齋藤一之, 渡辺博司, 澤口聡子, 池田典昭, 伊藤洋子, 遠藤任彦, 吉田武美, 大澤資樹, 赤根 敦, 小室歳信, 押田茂實, 佐藤啓造著) 158-161頁. 朝倉書店, 東京
  2. 水上 創, 赤根 敦, 塩野 寛, 吉田将亜, 小川研人, 斉藤 修, 上園 崇, 清水恵子 (2001)
    グリコフォリンA遺伝子多型の細検討.
    DNA多型, Vol. 9 (DNA多型学会編) 161-163頁, 東洋書店, 東京
  3. 綿引利充, 沖井 裕, 吉村澄孝, 時安太久磨, 吉田 学, 赤根 敦 (2001)
    糖尿病KK-Ayマウスに対する長期エタノール摂取の影響.
    アルコールと医学生物学, Vol. 21 (アルコール医学生物学研究会編) 99-102頁, 東洋書店, 東京

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