細 胞
Ⅰ 細胞とはどんなものか
「細胞」は膜で囲まれた小さな部屋であり、その中で生命現象を営んでいる。すべての生物は一個以上の「細胞」で構成されており、細胞は生物を構成する基本的な最小単位であると考えることができる。
注)細胞は大きく分けて原核細胞 (Prokaryotic
cell:単細胞生物などきわめて下等な生物に見られる、核のないもの) と真核細胞 (Eukaryotic
cell:より高等な多くの動植物に見られる、核を有する細胞)に分けられる。ここではおもに動物の(とくにヒトの)細胞(つまり真核細胞)を取り扱う。
Ⅱ 細胞の概観
大きさ: いろいろ!
例えば血液中の細胞のひとつである赤血球は7~8ミクロン、
一般的には10~30ミクロンくらい。
大きいものとして卵細胞の直径は約200ミクロン、
ニューロンの突起(神経線維)のように細くても長さが1mにおよぶものもある。
かたち: いろいろ!
球形、卵円形、立方形、円柱形、扁平形、紡錘形などと表現する。
膜による真核細胞の空間区分: 核質 ―{核膜}― 細胞質 ―{細胞膜}―細胞外
光線顕微鏡(光学顕微鏡=光顕):
細胞膜(実際は細胞と細胞外との境界)、細胞質(一部の細胞小器官の存在がうかがえる
こともある)、核(染色質と核小体)。染色を施していてカラーで観察
電子顕微鏡(電顕)で見た細胞:
解像力は高い、すなわち倍率をあげられる。
電子線を媒体として観察し電子密度の濃淡をモノクロで観察
Ⅲ 核
核膜に囲まれた「空間」である。
核小体(nucleolus): rRNAを合成している場所 (古い用語では「仁」と呼んだ)
染色質=クロマチン Hetero-chromatinとEu-chromatin:
ゲノムDNAの保管場所(Hetero-)、RNAへの転写transcription (Eu-)の盛んな場所
* ゲノムDNAはヒトでは、約30億塩基対、3~5万の遺伝子をコードしている。
核基質: 核内の無構造な部分、核膜孔を通じて細胞質基質とつながっている。
Ⅳ 細胞質
A. 主要な内容物:「細胞(内)小器官 (cell organelles)」と一般に呼ばれる。
①小胞体 (endoplasmic reticulum: ER)
リボソーム(ribosome) の付いた粗面小胞体(rER)と付いていない滑面小胞体(sER)がある。粗面小胞体はおもに円盤状(押しつぶされた袋状)をしており、細胞膜結合型や分泌型のタンパク質を作る「工場」となっている。
滑面小胞体は細胞質内に網のように広がり、互いに連絡する内腔をもった微細な管状の構造物。粗面小胞体とともに脂質の合成・代謝の場となっている。
また、特定のイオン類の貯蔵の場でもある。
②ゴルジ装置 (Golgi apparatus)
扁平なふくろ状のものを数枚重ねたような構造物。rERで合成されたタンパク質を加工・分別し、分泌小胞やリソソーム向け小胞等にパッキングする、「最終組立工場兼流通センターのようなもの」である。
③小胞類(vesicles) --- 輸送小胞、飲み込み小胞・エンドソーム、分泌顆粒・分泌小胞など ---
大きさはいろいろで、球状(大きいものは不定形)の袋状の膜構造物。「袋の中身を輸送するトラック」のようなものである。
④リソソーム(lysosome)とペロキシソーム(peroxisome)
形状はいろいろだが基本的に球~卵円形。
リソソームは加水分解酵素などを含有しており、不要物質の分解と処理を担う。大きい意味では上記の小胞類の一種であるが、中身が細胞外には出ない。「ゴミ処理場」のようなもの。 ペロキシソームはおもにカタラーゼやペルオキシダーゼなどを含有していて過酸化脂質の代謝などをおこなう。
⑤ミトコンドリア(mitochondria)
直径0.2-0.5μm×1-7μm位の大きさの球・杆状構造物。内外2枚の限界膜をもち内膜はヒダ状に陥入し、櫛またはクリスタ(クリステ)cristaeと呼ばれる。最内側の部分はミトコンドリア基質という。
内膜や基質の部分には、TCAサイクルに関する諸酵素と電子伝達系に関する諸酵素が含まれ、細胞内でのエネルギー(ATP)の産生に重要。「細胞の発電所?」といった存在で、エネルギー供給の源。
元々外来の微生物(バクテリア)がすべての動物細胞に入り込んだ寄生体(共生体)の一種と考えられ、独自の(バクテリアに近い構造の)DNAをもち独立して増殖する
⑥中心小体(centrosome)=直交する2本の中心子(centriole)
中心子は、3本1組の微細小管(微小管)が9組集まった、直径0.2μm長さ0.5μmの円筒形の構造物。
⑦ リボソーム (ribosome)
遊離型 (free
ribosome)と付着型 (membrane-bound ribosome)がある。
12nm×25nm位の大きさの、顆粒状(雪だるま型)の構造物。
おもにリボソームRNA (rRNA) からなる(少量のDNA・タンパク質も含む)。
RNAからポリペプチド(タンパク質)への「翻訳」の場。
注)付着型リボソームは小胞体に付着し、そこを粗面小胞体と言う。付着型リボソームでは膜結合型や分泌型タンパク質の翻訳がおこなわれる。 遊離型リボソームは、しばしば集合してポリリボソーム(ポリソーム)を形成する。ポリソームでは非膜結合・非分泌のタンパク(細胞質基質・核・ミトコンドリアなどで利用されるタンパク質)の翻訳がおこなわれる。遊離型リボソームを細胞小器官に含めない場合もある。
B. 封入体または副形質:
① グリコーゲン顆粒
② 脂肪滴
③ 色素類(リポフスチンなど)
注)細胞小器官のひとつとして記載したA-③の小胞類はここに区分されることも多い。
逆に、脂肪滴(脂質滴)や色素の一部(メラノソームなど)は細胞小器官に分類される場合も多い。
参考)原形質と副形質
細胞膜などの形質膜、核質や細胞質(細胞内小器官を含む)のことを原形質という。原形質は細胞の「生きている」部分のことであり、「死んだ」物質や取り込んだ物質(例えばグリコーゲン顆粒など)はこれに含めないで副形質という。「原形質」と「細胞質」を混同しないように! というより、原形質や副形質という単語は最近あまり用いないと考えて欲しい。
C.細胞骨格:(細胞内小器官に含めることもある)
線維状のタンパク質でできた骨格構造で、細胞の形の維持や細胞内の物質流動を助ける。
① 微細小管: Tubulinという2本鎖のタンパク質線維が13本集まった、25nm径の構造物(細胞内物質流動に関連、レール・道路の役割、これに沿って輸送小胞などが運ばれる)。
② 微小繊 (線) 維 文字通り、骨格として働く他、一部の線維は運動にかかわる。
a) 細いフィラメント = アクチンフィラメント: Fアクチンの2重らせん、6nm径。
Gアクチンという球状タンパク質が連なって線維状になったものがFアクチン。
片一方の端は細胞膜に結合している。
b) 太いフィラメント= ミオシンフィラメント。12-15nm径。
c) 中間径フィラメント: 8-11 nm径、Keratin(Tonofilamentsはこの1種)、
Desmin、Vimentin、Glial fibrillary acidic protein、Neurofilaments、など
(俗称 10nmフィラメント)
D.細胞質基質: 細胞質の内、構造物のないゲル状の部分
細胞質ゾルまたはサイトソル(cytosol)と呼ばれる画分にほぼ一致する。
Ⅴ 細胞の膜成分
細胞小器官のうち小胞体、ゴルジ装置、リソソーム、分泌顆粒や小胞などの膜は細胞膜と共通の膜成分でできている 。ミトコンドリアの外・内膜は少し異なるが、似た構造をしていて、これらを単位膜という。
核膜の本態: 内膜と外膜からなる。核膜の切れ目が核膜孔であり、ここで核内膜と核外膜は折れ返りつながっていて袋状になっている。この袋は小胞体に相当する。核膜孔を通して核基質と細胞質基質が連続していて、核と細胞質の間の物質移動は核膜孔を通しておこなわれるが、その移動には一定の選択性がある。
核膜と細胞膜および(ミトコンドリアを除く)細胞小器官の膜を含めて、「細胞内膜系」といい、この膜系により細胞の「うち」と「そと」が厳密に区別されている。
細胞膜 = 形質膜 (plasma membrane)
厚さ7.5nm、リン脂質の2重層(中間層の疎水基を両側面の親水基が挟む形の3層構造)この流動性の脂質層の中にタンパク質分子がモザイク状にはめ込まれた状態になっている。タンパク質やリン脂質分子からは細胞の外側に向かって、糖鎖がのびる。細胞膜の外表面の糖鎖集団は、Glycocalyxと呼ばれる厚さ50nmの糖衣を形成していて、細胞同士の認識や、接着に関与している。
受容体・ポンプ・チャネル・トランスポーターは脂質層に浮かぶタンパク質分子である。細胞の外(と細胞内膜系の内腔)から細胞内(細胞質基質側)への物質移動は簡単ではない。そのため、受容体を利用して細胞外の物質からの情報を細胞内に伝えたり、ポンプ・チャネル・トランスポーターを利用して物質透過の選択をしたりしている。
形質膜の合成と流れ: 小胞体膜→ゴルジ装置→小胞・分泌顆粒→細胞膜
↓ (膜はリサイクルされる!)
リソソーム・エンドソームなど
Ⅵ 物質の膜透過
① 特殊装置を用いる場合 (透出)
ポンプ(能動輸送): 膜を1回貫通する糖タンパク質の2量体または多量体
例: Na,K-ATPase(ナトリウムポンプ)、エネルギーが要る、ATPを分解する酵素
チャネル:voltage-gated type: 膜6回貫通ドメインを繰り返す単一の糖タンパク質
ligand-gated type:(受容体の一種)膜4回貫通型の糖タンパク質の多量体
開閉にはエネルギーが要るが、物質通過そのものは単なる拡散による
例: CaチャネルやNaチャネルなど
トランスポーター: 膜を12回貫通する糖タンパク質、輸送にエネルギーが要る
例: グルコーストランスポーター、アミノ酸のトランスポーター
② 特殊装置なしで膜通過できる場合 (透出・拡散diffusion)
例: O2やN2などのガス類、ステロイド(小分子で脂質の1種)、など
③ 膜を透過しない物質輸送
開口放出または開口分泌 (exocytosis)、(←→ 透出分泌)
Endocytosis=内部移行(internalization): たべこみ(phagocytosis)、のみこみ(pinocytosis)
細胞内では発芽(budding)や膜融合(membrane-fusion)と言うプロセスを踏む。
〔ここに出てくる多くの用語は細胞の構造ではなく現象に付けられた名前である〕
Ⅶ 細胞内でのタンパク質(ポリペプチド)生合成
A 核内での転写とRNAプロセッシング
核: transcription 〔DNA → heterogenous nuclear RNA = mRNA precursorに!〕
capping、terminal
poly Aの付加、exon、intronのsplicing 〔 → mRNAに!〕
その後、mRNAは、核膜孔を通り細胞質へ移動し、リボソームでrRNAの助けを借り、mRNAの情報をもとに、tRNAが連れてきたアミノ酸を材料にタンパク質を生合成する。
B-1 分泌型、(細胞)膜型、および内膜系腔内で働くタンパク質の生合成
① rERのリボソーム: translation 〔 → prepro-xxxxに!〕
・・・細胞内膜系の内腔側にできる
② rER: signal peptideの離断 (←↑↓)の過程をプロセッシングという
③ rER~ゴルジ装置:glycosilation (糖化し糖タンパク質になる)〔 → pro-xxxxに!〕
④ ゴルジ装置~分泌顆粒:
cutting 〔 → xxxxに!〕
・・・ 細胞内膜系の袋にパックされる
⑤ その後、分泌型のものは、「開口放出」される。
B-2 細胞質基質、核基質、ミトコンドリアで働くタンパク質の生合成
遊離型のリボソーム上で翻訳され、その後、目的場所に移動する。糖付加は受けない。
C 調節性分泌と非調節性(構成性)分泌 (分泌≒合成+放出)
l
regulated pathway: 多くのペプチド性ホルモンなどは「分泌顆粒」にパックされていて、放出が一斉におこなわれ、しかも放出の際に分泌の「調節」を受ける
l
constitutive pathway: 細胞間基質のコラーゲン、免疫グロブリン、多くの分泌型酵素など、「分泌小胞」にパックされていて、ひとつの小胞が細胞膜に到達する度に開口放出がおこなわれる。 放出に際し調節を受けずに、transcriptionの際の合成調節のみを受けることになる。
『付録』 細胞の化学的組成
A.細胞の中の原子
炭素C、水素H、チッ素N、酸素O、リンP、イオウSの6種で全重量の約99%を占める。
B.細胞の中の分子
1.
細胞内で最も豊富な物質は水H2Oである。
水は細胞重量の約70%を占め、細胞内の反応のほとんどが水溶液中で起こる。
2.
細胞は炭素化合物からできている。
水を除けば、細胞内のほぼすべての分子は炭素化合物である。
細胞がつくる炭素化合物は、有機分子である。 これらの有機分子には、メチル基 –CH3、水酸基
–OH、カルボキシル基 –COOH、カルボニル基 >C=O、アミノ基 –NH2、
リン酸基 –PO32- などお決まりの原子の組み合わせ (基) がよくみられる。
3.
細胞内の有機小分子のおもなものは4種類である。
細胞内の化合物は化学的によく似たものが多く、その特徴によっていくつかのグループに分類されるが、そのほとんどは糖 (単糖)、脂肪酸、アミノ酸、ヌクレオチドの4種類に属する。 これらは、重合して糖 (多糖)、脂質、タンパク質、核酸などの巨大分子をつくったり、エネルギー源となったりする。( ⇒ 糖質、脂質、タンパク質)
4.
無機物質(⇒
無機塩類)は、細胞内の液中でイオン化した状態、または、巨大分子と結合して存在 (ナトリウムNa、カリウムK、カルシウムCa、塩素Cl、亜鉛Zn、鉄Feなど) 。
◎ 糖質
A.糖質とは
単糖、オリゴ糖、多糖を総称して糖あるいは糖質という。
糖質は、基本的にC、H、Oの3元素から成り、一般に (CH2O)nであらわされるので、
「炭水化物」ともいわれる。
単糖とくにブドウ糖は、細胞のエネルギー源の中心である。
B.単糖
単糖は、それ以上加水分解されない、糖の基本単位である。
炭素を5つ (果糖など) あるいは6つ (ブドウ糖など) 含む単糖は、環状の構造をとるこ
とが多い。
単糖は脱水縮合反応によってつながり、大きな炭水化物をつくる。
C.オリゴ糖
2~6分子の単糖の重合体をオリゴ糖という。少糖とも呼ばれる。
砂糖 (ショ糖、スクロース) はブドウ糖 (グルコース)と果糖 (フルクトース) からなる二糖である。
小さいオリゴ糖がタンパク質、脂質と結合したものは、それぞれ、糖タンパク、糖脂質と呼ばれ、細胞膜に存在することが多い。
D.多糖
何千個もの単糖からなる巨大な糖を多糖という。
単糖には、別の単糖と結合できる水酸基が数個あるので、枝分かれし、膨大な種類の
多糖を構築できる。 グリコーゲンもデンプンもセルロースも、ブドウ糖のみからなる多糖であるが、枝分かれの数や仕方が異なる。
◎ 脂質
A.脂質とは
脂質とは、脂肪酸や脂肪酸誘導体の総称であり、水には溶けず、有機溶媒に溶ける。
細胞内での脂肪酸の最も重要な機能は、細胞膜を始めとする種々の膜の形成である。
脂肪酸は、細胞のエネルギー源でもある。
B.脂肪酸
多くの脂質に共通した成分で、ふつう偶数個の炭素原子 (16個、18個のものが多い) か
らなる直鎖状の化合物である。
脂肪酸分子は、性質の異なる2つの部分からなる。炭素鎖は疎水性、カルボキシル基は親
水性である。
炭素原子間に二重結合が無いものを飽和脂肪酸 (パルミチン酸など) といい、1個以上の
二重結合をもつものを不飽和脂肪酸 (オレイン酸など) という。
C.中性脂質
グリセロール1分子に脂肪酸3分子がエステル結合したものを、中性脂質という。トリアシルグリセロールあるいはトリアシルグリセリドとも呼ばれる。
D.複合脂質
グリセロールに、脂肪酸だけでなくリン酸、糖などが結合したものは、それぞれ、リン脂質、糖脂質と呼ばれ、複合脂質と総称される。 (リン脂質は細胞膜の主成分である)
◎ アミノ酸とタンパク質
A.アミノ酸
アミノ酸は、1つの炭素原子にアミノ基、カルボキシル基、水素原子、側鎖が結合してい
る化合物である。
側鎖はそれぞれのアミノ酸に固有であり、これによりそのアミノ酸の特性が決まる。
アミノ酸が細胞内で重要なのは、タンパク質の構成単位であるからである。
B.ポリペプチド
ペプチド結合により、多くのアミノ酸が、一定方向に直鎖状に結合したものをポリペプチ
ドという。 ペプチド結合とは、1つのアミノ酸のアミノ基と、もう1つのアミノ酸のカルボキシル基か
ら、水が除かれてできる結合のことである。
C.タンパク質
タンパク質を構成するアミノ酸は20種類ある。
タンパク質は、1つまたは複数のポリペプチドから成る。
ポリペプチドを構成するアミノ酸の配列のことを、タンパク質の一次構造という。
ポリペプチドは、その種類によって、らせん状や波板状といった特有の立体構造をとって
おり、これをタンパク質の二次構造という。
ポリペプチドが、さまざまに折りたたまれることにより、それぞれ独自の複雑な立体構造
をとる。これをタンパク質の三次構造という。
1つのタンパク質が複数のポリペプチドから成るとき、これらをサブユニットと呼び、こ
れらの空間的配置をタンパク質の四次構造という。
タンパク質を構成するアミノ酸の側鎖の性質が組み合わさって、タンパク質の性質や機能
が決まる。
◎ ヌクレオチドと核酸
A.ヌクレオチド
ヌクレオチドは、チッ素を含む環状化合物 (『塩基』と呼ぶ) と五炭糖 (5つの炭素原子から成る糖のこと) が結合したもの (ヌクレオシド) に、リン酸基がついたものである。
ヌクレオチドには、エネルギーを短期間保有する能力がある。なかでも、アデノシン三リン酸 ATP は、細胞内のエネルギー運搬体として重要である。
ヌクレオチドの最も重要な役割は、核酸という長い重合体を構成する単位であること。
B.核酸
核酸はヌクレオチドの重合体、すなわちポリヌクレオチドである。
核酸のヌクレオチド配列は、細胞の遺伝情報の暗号になっている。
核酸は、ヌクレオチドをつくる五炭糖の種類により、2種類にわけられる。糖がリボースであればリボ核酸 RNA で、糖がデオキシリボースであればデオキシリボ核酸 DNA である。
# タンパク質や核酸には、それぞれアミノ酸や塩基の『配列』が存在することになる。
『付録』 生化学的な細胞学研究手技
試験管内で液状に破砕され、分画された細胞成分
試験管内に集められた細胞は種々の方法で「すりつぶす」ことができる。そのとき膜成分は断片となるが、できた断片はすぐまた閉じて小胞状となる。また破砕処理を注意深くおこなえば、核や一部の細胞小器官は無傷のまま残る。
このようにして、大きさ・電荷・密度の異なる膜粒子が密に懸濁した可溶性抽出液が得られ、破砕操作の溶媒をうまく選べば生化学的特性がもとの細胞小器官とほぼ同じ状態で得られるので、この抽出液を分離すれば、それぞれの細胞小器官ごとに生化学的方法で解析できる。
分離の方法として、例えば異なった濃さのショ糖液(砂糖水)を重層してショ糖の密度勾配を利用した(ショ糖を溶質として加え、遠心分離する)方法が良く用いられ、核、ミトコンドリア、リソソーム/ゴルジ、ミクロソームなどに分画される。
なお、「ミクロソーム」 microsome(「小胞体」にほぼ一致)や「サイトゾル」cytosolは、構造名でなく画分名である事に注意する(分けること=分画。分けられたもの=画分と言う)。